著者: 丁宗鉄 出版社: マキノ出版 サイズ: 全集・双書 ページ数: 206p 発行年月: 2006年10月。 |
書評 |
当研究会の顧問である日本薬科大学教授の丁宗鐵先生の代表的な著作であり、カレーが健康増進に役立つことを医学的に説明した本です。 まず、著者は、カレーで使われるスパイスは、漢方の生薬で使われるものと同じであると指摘します。具体的には、ターメリックはウコン、シナモンは桂皮、クローブは丁香、カルダモンは縮砂、クミンは馬斧、フェンネルは茴香などなど、すべてのスパイスに生薬名があり漢方として使用されているものだったのです。しかも、漢方は、西洋薬と違って、一種類で処方されることはなく、必ず複数の生薬の組み合わせで処方されます。その意味でも、カレーのスパイス調合と同じなのです。 そして、実際カレーを食べたとき効果について実験での実証をもとに解説されています。例えば、カレーを食べると脳の中の血流量が増えることが実験で検証し、スパイスの生薬としての効能を科学的に実証しています。脳の中の血流量を増やすことは、高齢者にとってはアルツハイマーの予防になり、一般の人には集中力を高める効果があります。また、カレーを食べることによって、深部体温と体表温度が上がることも実証されています。深部体温と体表温度の上昇は、冷え症の防止になるだけでなく、エネルギーの基礎代謝を上げやせやすい体質をつくるダイエット効果もつくり、さらに免疫機能を高めることにつながります。 まさに万能薬といっても良いカレーですが、著者は、1点だけ我々のカレーの常識に反するような注意点を指摘しています。それは、“カレーは決して煮込んではいけない”という点です。一般に、カレーは二日目のカレーのように煮込んだカレーが良いと思いこんできましたが、実は様々な効能をもつスパイスは熱に弱いので、体に良いカレーのためには、決して煮込まないことが大切だと言います。 この本が切っ掛けで、健康カレー本舗では、本来もつカレーの効能をさらに高め、一般的なカレーに含まれる心配なこと(食材の安全性、様々な添加物、高いカロリー)を排除した、毎日食べられる究極の健康食としてのカレーを、著者のアドバイスの下、開発することになりました。 こちらも参考になると思いますので是非ご覧ください。【丁先生研究資料】カレー再発見フォーラム(ハウス食品) |
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